2006-04-19

博士論文

QJ5.jpg「クィア・ジャパン vol.5—夢見る老後!」でお世話になった社会学者の小倉康嗣さんに、博士論文(「高齢化社会と人間生成ー現代中年のライフストーリー調査にみるエイジング」)を製本したものをいただいた。電話帳くらいの厚さがある労作で、研究者にとって博士論文がいかに重要な仕事なのかがその重みからも伝わってきた。むろん、素人の伏見にはそこで展開されている議論について論評することなどできないのだが、研究者が人生を賭けて記したものであることは、行間からひしひしと感じ取れた。

よく、ある事象を誰かの理論を持ってきて記述し、「ほーら、俺ってすごいだろ?」と言いたげな論文を目にすることがある。あるいは、他人が作った議論の枝葉末節をけなすことで自分の論を成り立たせているような類いのもの。そういう仕事はちょっと小利口な人間なら簡単にできるのだが、小利口なやつにかぎって自分にオリジナルがないことを恥じていない。自分自身を投入していないことのみっともなさがわかっていない。

それに比べて小倉さんの博論は、身を削って、といった表現がぴったりの印象で、研究者としての覚悟を見せつけられた気がした。その気迫に、この人の言葉は信じられるなあ、と思った。