2005-10-08

三輪さん

美輪さんに続いて、今度は「三輪さん」です。先日、京都・奈良を観光旅行した際、訪れた場所です。三輪そうめん、の三輪。JR桜井線「三輪」駅をおりて10分ほど歩いたところに大神(おおみわ)神社があります。この神社は、拝殿のあるなだらかで姿の美しい三輪山そのものがご神体。三輪明神に対する信仰もあるところです。

能楽に、この明神さまを女神と解釈した『三輪』という曲目があります。学生時代、縁あって能楽に接していたころ、宝生流能楽師・田崎隆三の『三輪』を観ました。前シテである里の女が舞台上の作り物に入り、そこで三輪明神である正体を明かし、明神の姿となって再登場します。金の風折烏帽子(かざおりえぼし)に白の長絹(ちようけん)、緋の袴という巫女スタイル。ただ床几に座っているだけの、その佇まいがとてもまぶしかった覚えがあります。それ以来『三輪』は僕にとってちょっと特別な曲目になり、ゆかりの地である三輪も特別な場所になりました。

大神神社は、派手な観光スポットではないため、連休にもかかわらずひっそりとしていました。杉木立の参道を歩いて本殿に向かうと、それだけで荒んだ気持ちが癒されていくようです。古来から信仰を集める場所というのは、ある種のパワーがありますね。今回はあまり時間がとれず断念したのですが、次回は山沿いの古道、山の辺の道をたどって訪れたいところです。