2008-01-07

図書館で働いて、ちょっと、と思った事

みなさま

新年おめでとうございます。

さて、まえにもちょっと書きましたが図書館員のまね事を週に一回、4ヶ月間やりました。
図書館では、本を捨てます。僕が行った図書館では、毎月ほぼ数百冊くらい捨てるようでした。
そういう捨てる本を、毎月選び出し、手続きをして、データベースにも記録し、そして本にはすてたものだとわかるようにシールをはり、赤いスタンプをおします。
そして、図書館利用者に自由に持って帰ってもらうようにします。

驚いた事に、数日でほとんどの本が持って帰られるようです。
捨てる本を棚に並べる作業をやらせてもらったので、何となく、タイトルやどんな種類の本なのか、という感覚があるのですが、そんなに人気のあるものだとは思えませんでした。

出版社をやってるわけですから、本が大胆にやり取りされるのには少し抵抗はありました(その分本が売れなくなるんじゃないかという危機感を持ってしまうんですね)。
でも、まあ、僕はブックオフや、図書館の貸し出し拡大に反論する、出版業界の人や、書き手に、むしろ反発をもってるくらいなんで、その抵抗感もほんのわずかだっただけでした。

んでんで、その後、その区でだしている「図書館だより」を見ました。
そこには、「読み終えた本を寄贈していただけませんか」という記事があり、特に予約の多い本のタイトル/著者名/出版社、の表がついていました。
楽園
夜明けの街で
ホームレス中学生
反転 闇社会の守護神と呼ばれて
おひとりさまの老後
吉原手引草
(著者、出版社名は略)

いやー、さすがにどきんとしました。

一応、著作権という形で、書き手の経済的な取り分を一定保証しよう、という社会の合意があるのに、そこまでやるか? って感じです。

僕自身、この事態をどう考えるのがいいか、今もちょっと整理しきれてません。
でも、図書館が無料で本を貸し出すのはいいし、副本(説明省略)も一定の限界を設けてあればいいと思うのですが、寄贈をよびかけるのはどうなんだろう?という感情になっているのです。

無料貸し出し、副本、はいいとしても、購入という形で著作権料を支払う、というのが図書館にもとめられていいのではないか?

図書館/図書館員は、どこかで著作権使用料をキチッとはらう、ということを考え続ける必要があるんじゃないか?

まあ、まだ結論はでていません、僕なりの。

●追記 図書館員の愛弟子さん

ブログで書いてくれてありがとう。
僕も、返事を↓コメントに書きました。

このエントリへの反応

  1. 寄贈というか、もっと大々的なことをしました。奈良県大和郡山市では昨年12月24日に市立図書館が入っている市のホールの展示場で「リ・ブック フェアー」というものをやりました。1ヶ月ほどかけて市民から要らなくなった本を公民館とか図書館で回収して欲しい人に無料で持って帰ってもらうというイベントです。2回目でしたが、1回目から実行委員会に入っています。言い出しっぺは市長で事務局は市立図書館にあります。図書館の廃棄本も入れてですが約5000冊ほどの本が集まり、半分くらいは持って帰ってもらいました。残りのうち汚れとかあまりにも古いものは一部廃棄してあとは繰り越します。児童図書はほとんどのこらない。全集物がうんと残りました。古い広辞苑もいくつかでてましたが早くなくなりました。一部の貴重本は図書館へ。入場持ち帰り等は無料ですが、カンパをお願いしています。10万円くらいになるのですが図書館の希望する本を購入して寄贈します。年に1度くらいのペースで続けていこうかという話になってますが、、、、、、こういうのはいかが?

  2. 図書館と財産権の精神…

     『ず・ぼん13』が届いた。話題の「有川浩インタビュー」ほかもりだくさん。 ちな (more…)

  3. Tameさま 図書館の愛弟子さま

    そういの、全然イイとおもいますよ。
    なんていうか、そういう取り組みがすべてダメっていうんではなんくて、図書館も著作権使用料を払うってことをオオモトにはおいておくのがいいんじゃないかと思うのです。
    貸し出し用の著作権使用料というシステムがない日本で、
    図書館が貸し出しをこれからも維持していくためには、そうした気遣いが大切なんじゃないかな?という気持ちなのです。
    今、寄贈の本でつくられている図書館は存在してるようですけど、
    たぶん蔵書の偏りっていうハンデを背負ってるのではないでしょうか?
    だとしたら、ハンデを背負ってるので、著作権使用料を一切分担してなくても、まあいいや、と思えるんじゃないか?
    んで、タイトルまで指定して寄贈を求めちゃうと、その「ハンデがあるんだからまあいいや」におさまらなくなるんじゃないか?というのが疑問なんです。
    貸し出しシステムの普及は、貸し出し回数の正確なカウントを可能にしてる。
    それらを使って公貸権のような、著作権使用料を正確にカウントしてしはらうのも将来の選択肢として考えてたいです。
    もっといえば、電子書籍や、PDFを図書館でプリントアウトして化し出すことなどを可能にするためには、そうした使用料のことをキチッと計画のなかにいれたい。
    今、出版業界は、コピー代金を、企業などから大ざっぱにとって大手の出版社だけで山分けしてます、。
    もちろんポットのような小出版社の本がコピーされる確率や回数はとても少ないでしょうが、まったくの蚊帳の外というのは、改善されるべき問題だと思ってます。
    さらには、著作者にはそのお金は回っていないはずです。
    これも含めて、コンピュータを活用した方法論の改善に、考えを進めたい、ということです。
    現在、さまざまなところで行われてる、廃棄本の活用などの活動をやり玉にあげるのではなく、そうした改善内容を考える事に少ない力を注ぎたいというのが、今、僕の頭にあるイメージなんです。