2005-05-18

東京人、社会人、自由人。

adfc.jpg●本日のお仕事
○ブログの更新
○ポットが作った他社雑誌の特集の校正(誤字・脱字はないか)
○人間学アカデミー第五期パンフレット作成の為、講師の方の情報収集
○校正(つけあわせ)の続き
○ゴミ捨て等雑用
○個人情報保護法の勉強会に参加

ビルの谷間をぬって走る電車。ものすごい人ごみ。恐ろしいほど狭い道路。英語と全く類似性を見いだせない日本語。アメリカの大学で「いつもドレスアップしている」と言われていたのが嘘のよう。みんながあまりにもお洒落でモデルみたいな格好なので気後れしてしまった。東京に戻ってきた日から毎日が驚きの連続だった。最初の一週間は、日本語を話そうとするとずっと使っていなかった脳の部分を使っているからかすぐに疲れてしまったし、会話や人ごみも怖くてたまらなかった。本当に最初は、ずっと居心地のいい場所(すなわち自分の大学)に帰りたくてたまらなかったし、東京の人ごみの中で自分が異質な存在に思えて仕方がなかった。ここは僕のいるべき場所ではない、とずっと頭のどこかで誰かがささやいているみたいだった。東京で生まれ育ったというのに。

今週は僕の東京での二週間目だ。やっとポットでの毎日、そして日本での毎日にも慣れ始めた。そして、新たに、少しずつではあるが、心のよりどころとできるものや愛着のわくものができ始めた。僕は大学でPublic Relations(広報)とInternational Studies(国際学)を二重専攻しているのだが、東京のPRの面白さには感激してしまった。ポットに来る時、僕は毎日山手線を使っている。山手線の広告は、毎日楽しみなもののひとつになった。NYやカリフォルニア、ましてや僕の住んでいたクリーブランドの電車ではあり得ない大々的な宣伝方法。電車の外側から内側までひとつの企業のPR一色だったりすると、もうわくわくしてたまらなくなってしまう。効果的な色使い、印象に残るデザイン、かわいらしい企業のロゴマーク。クリーブランドの生活に比べて、一日に目にする広告の数は本当に驚くべき数である。次に、表参道の新緑。原宿駅からポットに行くには竹下通りを通った方が早いのだが、僕の足ははやはり表参道に向いてしまう。僕の頭上をすっかり覆い隠してしまう鮮やかな新緑。どこまでも続く並木道に毎日とても癒される。そして路地裏までかわいいお店がずらりと並んでいて、歩いているだけで幸せな気分になる。最後は人々だ。東京の人たちはとても面白い。みんなかわいい格好をしていて、毎日電車に乗ってくる人々の洋服や髪型をみるだけでもすごく楽しい。そして、イケメンが多い(!)。髪はぼさぼさ、スエットパンツにTシャツ一枚というださださアメリカン学生たちに囲まれて過ごしていた僕には、もう東京人の大半がすごくかっこよく思えてしまう。毎日、外に出るのがルンルンだ。

さて、今日ははじめて雑誌の原稿の校正をした。いつも書店で見るいかにも雑誌という紙面が一枚一枚の紙として自分の手元にあるのは不思議な感じだった。書籍には出版社によっても独自の校正ルールもあるという。例えば、A社では「できる」はすべて「出来る」と漢字で表記することが定められている。B社ではもし一行のはじめに「〜によって」の「っ」(いわゆる、小さい『つ』)がきた場合それを前の行の「よ」の下につけるが、C社ではそのまま次の行に送ってしまうなどのルールがある。雑誌と書籍の校正をそれぞれやってみて、原稿というのは意外と間違いが多いものなのだな、と思った。僕のような素人では何の間違いも発見できないのではないか、と思っていたが、一行まるまる抜けている段落があったり統一されていない表現があったりでひとつの特集や一章分ともなるとかなりの量になる。

そして夕方、青弓社で開かれた「個人情報保護法」の勉強会に参加させていただいた。講師の方は個人情報に誰が責任を持つのか、個人情報保護法を業界的に見るとどうなるのか、などを中心にその概要についてわかりやすく話してくださった。個人情報保護法など学生の身分ではあまりきちんと意識したこともなかったが、企業としてはやはり具体的に対策をならねばならず法律がどれだけ実社会に影響を与えているかということを目の当たりにした。あまり意識することのなかった社会と行政のつながり。講師の方は、個人情報保護法は個人情報の自己コントロール権を認めようとするものだ、とおっしゃっていた。それは「一旦業者に提供した個人情報でも、引き続き自分の資産のように管理できる権利」なのだそうだ。個人情報を利用することが容易になってきた社会環境の中でプライバシーという概念では十分でなくなってきたためにこの法律ができたという。彼が「仮に使い道のない情報を持っているとそれについての責任も持っていることになるので、負債になってしまう可能性さえある」と言っていたのが面白かった。出版社における複雑な事例もお話しくださり、すごく有意義な勉強会であった。

うーん、会社の生活って面白い。

●実習生の教科書
沢辺さん、大庭さんが、「実習生としてこれだけは知っておくべき!」と熱く推薦してくださった本たちです。出版業界に興味のある方は読んでみると面白いかもしれません。ちなみに、藤井も行き帰りの電車の中で少しずつ読み進めています。

これを読まずして、編集を語ることなかれ。/松田 哲夫 著/径書房
決定版 ルポライター事始/竹中 労 著/筑摩書房
編集者の著作権基礎知識/豊田 きいち 著/日本エディタースクール出版部
出版幻想論/藤脇 邦夫 著/太田出版