2009-02-13

第59回ベルリナーレ 2月12日

早くもベルリナーレ8日目です。
金熊賞対象となる作品は、今日を含めてあと3本。
コンペ外の作品は、あと4本です。
今日見た3本の映画と、昨日のぞいてきた
ヨーロッパフィルムマーケットの日本ブースの紹介をしますね。

圧倒的な風景の中で語られる
ペルーの現実「La Teta Asustada(The Milk of Sorrow)」

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ペルーが舞台の映画。ペルーと言えば、ナスカの地上絵や
インカ帝国などの世界遺産が有名で、一回は行ってみたい国の一つです。
でも、そこでどんな人々が、どんな風に暮らしているのかは
私自身、全く知りませんでした。

物語は、Faustaという若い娘の年老いた母親の死に際のシーンから
始まります。母親が歌い、娘もそれに答えて歌います。
その歌の中で語られるのは、「悲しみのミルク」というキーワード。
映画の後、青木さんにドイツ語で事前資料を読んでもらったところ、
以下のような内容でした。
その女の子は、病気で、その病気というのは母親が妊娠中や授乳期間中に
レイプや暴力を受けたことが原因でなってしまうというものでした。
それは今では、過去のものになっているが、
彼女は不安などによって魂が病んでいるという状態になっていて、
母親の死によって、それが一層深まってしまったということのようです。

映画では、この女の子が母親をきちんと埋葬するために、
働いてお金を貯め、最後はついに望みを達成するという話なのですが、
その間、母親は布に包まれ、娘のベッドの下にずっと置かれ、
時に娘は添い寝をしたりします。

母親の死後、娘は親戚のおじさんの世話になっているのですが、
その村での結婚式のシーンが何度も何度も映されます。
そのシーンは、まさの世界遺産の国ペルーの圧倒的な自然美、
見たこともない風景の中で行われていて、
でも、結婚式自体は、ベールの長さだとか、
いかに派手に行うかというバカバカしいほどの演出に満ちていて、
そのギャップに驚かされます。

娘と母親の顔立ちは、先住民族のようで、
ペルーでは、内戦の時代にレイプや暴行があったようなので、
この国独自の時代背景を映し出した映画なのだと思います。
その辺がもっとわかって見ると、より理解できたと思います。
終了後の拍手は大きく、社会性などから考えても、
賞をとる可能性が高いのでは?と思いました。

監督は、ペルー出身のClaudia Llosaという女性(写真下右)。
第2作目の監督作品のようです。

浮気された妻が息子連れで
リッチな夫探しの旅に出る「My One And Only」

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1950年代のアメリカが舞台。
バンドマスターの夫が家に女を連れ込んだ日、
妻のアンは2人の息子を連れて新しい生活を始めるため、
旅立ちます。美人で男性の目を引くタイプのアンは、
自分と息子たちを養ってくれるリッチな男性を探すため、
奔走するのですが…。
レニー・ゼルウィガーが、思春期の息子を持つ母親役を
魅力的に演じています。
父親役は、ケビン・ベーコン。この人、好きなのですが、
昔と変わらずスリムで、でも適度に年取った感じが良かったです。

映画はコメディタッチで、会場は終始笑いに包まれていました。
でも、母親と息子との関係の描き方は、
心にジンとくるものがあって、そのバランスが良かったです。

この作品は、俳優のジョージ・ハミルトンの子ども時代の思い出もとに
しているとのことで、最後には、撮影所で俳優として見いだされる場面も
出てきます。名前は聞いたことはあったけど、御年70歳ですから、
よく知りませんでしたがプレイボーイとして名を馳せていたそうです。

母親の描き方は、自分の魅力を武器に。
結局は男に頼って生きようとするものでしたが、
どこかに凛としたものがあって、性根の座ったと言うか、
芯が通っているというか、息子たちが誇りに思えるようなものでした。
でもまあ、多少は美化しているのでは?
昔の記憶は、年とともに、美しく書き換えられるものですからね。

監督は、Richard Loncraine)写真下)。

難解すぎてよく分からなかった
テオ・アンゲロプロスの「The Dust of Time」
(コンペ外)

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世界中の映画祭で数々の賞を取っている、
テオ・アンゲロプロス監督(写真下右)の新作。
「旅芸人の記録」「ユリシーズの瞳」「永遠と一日」など、
日本でも有名ですね。

ギリシャ、ドイツ、イタリア、ロシアの合作で、
舞台は、ギリシャ、ロシア、ベルリンと移り変わります。

監督自身の両親と自身を描いているようで、
どうやらこれは、「エレニの旅」を第一部とする
三部作のうちの二作目に当たるようです。
スターリンが死んだ1953年から始まり、それ以後50年以上の
家族の歴史が出てくるのですが、
時代が行ったり来たりしたり、
同じ場面でいつの間にか時代がさかのぼっていたりするので、
誰が誰なのか、よく理解できず、
特に、社会的な出来事もオーバーラップするので、
訳がわかりませんでした。
途中で退席した人も多かったです。

ウィレム・デフォーが監督Aを演じ、
「ふたりのベロニカ」のイレーネ・ジャコブが母親エレニ、
往年の名優ミッシェル・ピコリが父親役を演じ、
「ベルリン天使の詩」のブルーノ・ガンツも出ています。

ヨーロピアンフィルムマーケットの
ジャパンブースに行ってきました!

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映画祭の会場で、映画評論家の森山京子さんと
大久保賢一さんのご夫妻によくお会いします。
青木さんのお知り合いで、会場でばったり会った時は
私も話に参加させてもらって、いろいろ情報をいただいています。
ジャパンブースの件は、大久保さんに教えていただき、
昨日のぞいてきました。

マルティングロピアスバウ(ミュージアム)という素敵な建物の中に、
いろいろな国のブースが設けられ、映画のパンプレットや資料が
置いてあります(写真右)。

ジャパンブースには、「人のセックスを笑うな」や「七待草」などの
英語のパンフレットがたくさんありました(写真左)。