2010-02-19

ドヴィルパン前首相が多国籍軍のアフガン早期撤退と民生支援による復興を提言

フランス共和国のドミニク=ド=ヴィルパン前首相はパリ政治学院で催されたシンポジウムにパネリストとして参加して、「フランスは(多国籍軍の)アフガニスタン撤退においてイニシアティヴをとるべきだ」と発言した。
「アフガニスタンにおける軍事介入はこんにち、それ自身が問題となっている。軍事による平定というのは不可能に近い。駐留軍を増派すればアフガンの安定化につながるというのは幻想にすぎない。私が信念として心掛けてきたことは反対派をある程度の数は(議論や政策過程に)加えることだ。カルザイ政権も幅広い勢力から人材を登用すべきで、現在、アフガン情勢は悪化の一途をたどっている。アフガニスタンの軍事的介入は一刻も早くやめて、経済的・社会的領域で金銭的援助することがアフガン復興に向けた第一歩だ」
 ヴぃルパン前首相はこのように述べ、多国籍軍のアフガン早期撤退を促した。また、
「もしもカルザイ政権が自らの責任・責務を完全に負わなければならないと知るならば、その政治は『和解』に基づく『開かれた』真の政治に必然的になるだろう。現在は各民族・各政治勢力が反目し合っている。それではアフガンに平和は訪れない。タリバンを買収していくという現在の政治のやり方は効果的ではないし、道義やモラルにもとる」
 と述べ、国民的和解なくしてアフガンの復興なし、との見解を示した。
「イランやインド、パキスタン、ロシアの隣国は、アフガニスタンのカオスで国益を失している」「アメリカ合州国だけでアフガンの安定と復興を果たすことはできない。」
 と述べ、アメリカ中心の復興策の限界を指摘し、非軍事的な民生支援をするのが国際社会の責務であり、効果的な政策だと述べた。
 安全保障に詳しいジャーナリストの庭田悟氏はヴィルパン前首相の提言について、
「軍事に依らない民生支援は中村哲・代表の『ペシャワール会』がやってきたこと。日本政府は『ペシャワール会』を人材や財政の面で支援すべきでしょう。先進国は不安定な地域を平定するには軍事力が必要不可欠と考えている。国境なき医師団は『人道的なものは軍事的でなく、軍事的なものは人道的ではないのです』という理念を掲げています。日本政府が率先して民生支援をすることで、非軍事的な行動こそがアフガンの安定化につながるということを世界にアピールすべきです。それが日本国憲法九条を持つ国の責務でしょう。」